プロフィール
- 転職時年齢:30代前半
- 卒業大学:国立大学理系
- 前職の経験:インフラ10年程度
- 転職先:戦略ファーム/6カ月程度
- 給与はあがったか:前職と同等
- 英語レベル: TOEIC900点
※内定迄の体験記はこちら↓
戦略ファームでの最初の壁と乗り越え方
(1)難しく新しい仕事
- 入社当初は分からない事だらけでした。インタビューの設定等のロジ回りの速さやPPT1つ使い方をとっても、メンターからとにかくショートカットを叩き込まれ焦っていました。ただ、難易度が高い仕事に取り組んでいますが、最近では「なんとかなるかも」と思えてきています。
- 1つ1つのフィードバックを素直に聞き、愚直に取りいれていったことで、何カ月か経つと議事録やインタビュー後のメモ作成や他メンバーへ展開が早まったりしました。また、調査やデータ分析でマネージャーから「OKだよ」と言われ、成果物が使われる打率があがりました。目に見えて出来る事が増えている実感を得られる様になっています。身に付けなければいけない事はたくさんありますが、自分なりに今のファームで案件に入れ続けてもらうための必要なスキルが徐々に身についてきていることが実感でき、努力を続ければ自然と出来ることが増えていく実感があります。
- 出来ることが増えたコツとしては、当たり前ですが、出来る人がどうやっているかを見る、聞く、フィードバックを貰う、咀嚼する、といったプロセスを回せていけるかだと思います。
(2)コミュニケーションの取り方・頻度
- どのような頻度で進捗を報告するか、どのようにすり合わせるか、タイムラインの確認の仕方等は、前職のJTC時代とは大きなギャップがあり未だに慣れていない部分で、やり方を日々模索しています。
- JTCのタイムラインより、かなり早く進んでいくような印象(事業会社だと1週間くらい作業時間が確保されるところ、1~3時間で出して、と言われる等)で、自分が想定していた時間軸で動くとえらいことになるし、時期を逃すと作業自体に意味がなくなるので目線合わせはかなり重要だと思います。
- また、良くも悪くもマネージャーの言葉を鵜呑みにするのではなく、語弊なくいうと「マネージャーを上手く使う」観点も大事だと思います。
- 以前マネージャーからもらったフィードバックやアドバイスを、そのまま資料に反映させたら、「なんでこうしたの?」と詰められことがあり驚きました。「あなたが言っていたからでは!」と喉から出かけましたね(笑)
- マネージャーは忙しいので、全てを把握したうえでフィードバックをしている訳ではなく、割と仮説やアイデアベースでの意見も多いと気付きました。自分の担当領域は自分が最も情報を持っているので、自分が最後まで仕上げる気概を持ってマネージャーとコミュニケーションを取る姿勢を持たないと、嚙み合わなくなるなと思いました。マネージャーを「上司」と捉えるより「PJTを責任をもって回している役割の人」と捉え直した方がよいかもしれません。
- 前職のJTCでは、上司の指示を反映させることが大事でしたので、この辺りはアンラーニングしなければいけないです。
戦略ファームへの転職でギャップに思わなかったこと
(1)カルチャー
- 仕事に対して、当然にフルコミットが求められること、顧客ファーストであることは、選考の面接時にも言われていたことなので、大きなギャップはなかったです。ですが、思ったより拘束時間が長い点は、純粋に驚きでした(笑)。
- 顧客MTGや期限に合わせて妥協なく品質を上げにいくので、可処分時間を仕事へ全振りする事が前提になると思います。私も含めて、コンサルにいる人は2年位の短期間は腹をくくって全力で戦いに来ているような感じがします(笑)
- スピード感の速さなど、前職との違いは感じますが、慣れていけば何とかなるのではと感じています。
(2)求められる人間性
- 目の前の仕事に真剣に取り組むことが求められる点は想定通りでした(事業会社と大きく変わることではない)。その姿勢が適当だとおそらく次の仕事に繋がらないと思っています。
- 真摯である、嘘をつかないとかそういう基本的なところができれば、あとはどうにでもなると思えるような印象も受けており、一般的な社会人スキルがあれば、ギャップはないように思います。
(3)働いている人のキャラクター
- 田中さんから事前に聞いており、ダイレクトなフィードバックやコンサルの人の空気感は、想像通りでギャップはなかったです。思ったよりも、人情派、人の気持ちがわかる方が多い印象です。もちろん人によりますが(笑)
未経験で生き残る術
(1)なるべく職位を下げて入社する
- 出来る限り低い職位で入社して本当によかったと思います。私自身も下からステップアップしたかったことや、田中さんからもファームからオファーレターをいただいた時点で入社する職位を注意事項で教えてもらっており、納得感をもって下の職位からスタートしました。
- 実際、働いてみると本当によかったです。実際、私よりも高い職位で入ってしまい、ファームからの要求水準が高く困っている人も見かけます。良くも悪くも、パフォーマンスが職位に対して、現状のパフォーマンスはどうなのか、といった物差しで測られますし、チームメンバーにも職位相応のパフォーマンスを求められます。もちろん前職の経験や年齢は加味されません。これから戦略ファームに入社を考える方で、特に未経験転職であれば絶対に職位を下げての入社(=自分の実パフォーマンス/スキルと大きな乖離がない職位での入社)を主張した方がいいと思いました。入社後の生きやすさにかなり影響します。
- なお、下の職位と言っても、決して楽ということはありません。毎日全力で走り切っています(笑)
(2)フィードバックを貰いやすくする&素直に吸収する
- 全てが100点とはいかないですが、マネージャーやチームメンバーからアドバイスいただいた点を意識して過ごすことで、だいぶファームで生きやすくなっている気がします。まずは真摯に振られた仕事したうえで、「分からないことは分からない」、「詰まっている時は詰まっている」と伝えることが大事だと思いました。これまでの社会人経験でのプライドを捨てて新人から0から吸収していこうと思ったのが功を奏しました。
- また、PJTメンバー内でも違うレポートラインのメンバーとコミュニケーションを取りにいくことや、社内イベント等でPJTチーム外との人ともコミュニケーションを取り、相談相手/仲間を増やすことが大事だと思います。
(3)メンタルを安定させる
- 未経験での転職は想像以上に負担が大きいと改めて感じました。人間関係の構築も0からスタートですし、必要なスキルも一気に大量に習得することが求められます。メンターからショートカットキーを叩き込んでもらったのですが、横から「Alt→xx→xx!」と言われ続けると、初めは「なんのことだ?」と情報処理が追い付かず焦りました(笑)
- また、マネージャーからのフィードバックでは「いい感じにしてください」といった抽象的な指示もあり「え、どうすればいいの?」とフリーズすることもあります。それで、とりあえずやってみたら、マネージャーから「なんでこうしたの?」という返しが来て、「えっ?」と思うことも多いです(笑)。
- ただ、コンサルの仕事の進め方はPJTチーム内のクローズドな場で緊密に連携して進めるためチームメンバーとの人間関係を築くのも大事で、嫌な気持ちを引きずるわけにいきません。立場的にも積極的にフィードバックを貰い続ける必要があるので、メンタルを健全に保ち、フィードバックを積極的にもらい続けられるようにすることは大事だと思います。この辺り、私は田中さんとの毎週の振り返りで整理してから次の週に臨めたのはとても大きいです。
(4)入社前の学習からスタート
- 入社前の時間のある時にExcelの勉強をしていておいてよかったです。田中さんにお勧めいただいた講座を受けていて入社後役立ちました。受講が終わった時点でマスターまでする必要はなく、やり方をなんとなく知っている状況で、入社後に頼れる辞書があることが重要かと思います。WordやPPTはツールの使い方そのものよりもコンサルの考え方や所作が大事なので入社後にフィードバックを受けながら身に付ければよいと思います。ですが、Excelは入社後に大量のデータを成形したり、モデルを作る際に複雑化していくのでExcelの仕組みをしっておかないと苦労すると思います。
- 入社後にググって何とかすればよいとも思いがちですが、体系的な理解がないと調べるのも大変だと思います。入社前の余裕があるうちに田中さんから教えてもらって取り組んでおいてよかったです。
田中の入社後のサポートを継続した理由
(半)強制的に振り返りの時間を確保したかったからです。
- 自分自身、仕事の振り返りをする習慣をこれまで持っていませんでした。自分だけで振り返りに取り組むとなると、「なぁなぁにしてさぼったりしそうだな」と思っていました。(振り返りが必要であることは重々分かっていても、強い・厳しいフィードバックを受けた後は、目を背けたくなる時もあります…)
- また転職活動時の面接の振り返りも、田中さんにスケジューリングしていただいたからこそ、取り組めていたといった背景もあり、少なくとも振り返りの習慣が出来る迄は、田中さんにサポートいただければと思い継続をお願いしました。
田中の入社後のサポートがよかった点
(1)入社前のケース対策が入社後にも活きた
- 田中さんとの面接対策(ケース・ビヘイビア対策)で得た自己理解(話し方の癖で結論ファーストでなく冗長に話す傾向がある事や、考え方では、まず具体事例を考えて抽象化を図る方がスムーズに進むこと)は戦略ファームでの仕事上でも意識しており、改善に役立っています。
- 自分の考え方の癖は戦略ファームに入社してすぐに変わるわけはないので、その中で、どうパフォーマンスを上げていくかに役立ちました。私の場合は、いきなり仮説を立てるよりも、まず具体の情報を網羅的に集めてから抽象化していかないと考えが進みにくい(ボトムアップ思考の)傾向がありました。逆に捉えると、具体的な情報を一定集めれば考えが回っていくので、考えに窮した際は、その様に対応がとれればよいと指針が持て安心感がありました。
- こういった私の考える傾向を、入社前から田中さんから教えていただいており、入社後に想定される苦労やマネージャーからの想定フィードバックも先立ってインプットいただいていました。実際、ファームのマネージャーから同じ様にフィードバックが入った時も身構えずに素直に聞き入れられました。
- ちなみに、まず網羅的に情報を集めて抽象化していく傾向は中途のJTC出身者や研究職の方に多い傾向があるとも聞きます。ただ、都度、細かい情報を集めて仮説を立てていくのは効率的ではなく、今後の課題として、少ない情報からも仮説を立てられるように鍛える必要があると考えています。
- また、実際入社してみると、プロジェクトで市場規模や対象企業のアップサイド等、ずっとフェルミ推定をしているので、コンサルワークに必要な事をケース面接で見ているんだなと改めて思いました(笑)。
- よくよく考えると、コンサルの仕事は未来の意思決定を支援するので、みんな解を持っていない中で妥当な合意形成を支援することになります。未知の事象は分けて考えていくという田中さんとのケース対策で学んだ姿勢は、入社後も基本動作になると改めて感じました。
(2)内定受諾の検討時から入社後を見据えたフォローアップ
- 選考でファームからオファーレターを提示された時から、入社後のパフォーマンスを見据え職位を出来るだけ下げて入った方がいい事や他の重要な確認事項を田中さんから教えていただいていました。いざ、入社してみると「あの時田中さんが、言っていたのは、この為だったのか!」と思うことが多く、助かりました。
- また、内定から入社までの過ごし方も継続してサポートしていただき、事前準備を進められたことはメンタルの安定にもつながりました。
(3)入社後の振舞い方
- 入社直後、同期との繋がりを大事にすること等、仕事でのパフォーマンス以外にも田中さんから先立って入社して大事にする振舞い方を教えて頂いていたので助かりました。未経験の転職だと、特に不安が強くなり、「プロジェクトでよいパフォーマンスを早く出したい!早く認められたい!」といった気持ちになりがちですが、そのパフォーマンスを出す上で前提となる、職場の環境作りからのアドバイスもいただいていたのは大きかったです。見えていなかった視点でした。
(4)毎週の振り返りで現在位置の把握
- 最初(今も)出来ないことばかりですが、新卒と違い中途で入社すると横並びでの比較も出来ないので、「自分が落ちこぼれている、ついていけていない」と思い込んで悩むことが多いです。同期と情報交換をしても、断片的、主観的な情報の共有にならざるをえず、「実際に自分の能力が圧倒的に足りていないのか」、それとも、「成長過程として耐えるべき時期」なのかが分からなく不安でした。そんななか、田中さんと1週間に1回、現状をお話しして振り返り、客観的なコメントをいただけることで、メンタルの安定に繋がったのは大きかったです。
- 自分では整理できていなかった事項(発生した事案が一体何だったのか、仕事の流れ、人の性質)等、を客観的に整理いただけて、次週に向けてポジティブな気持ちになれました。
- 自分自身メンタルは打たれ強い方だと思っていましたが、入社後2つ目のプロジェクトで上手くワークできなく毎日本当に半泣きになっていました(笑)。マネージャーから悪意でも皮肉もなく、「なんでできてないの?」と真面目に心配された時は、かなりきつかったですね。不安が大きくなったので寝て気晴らしようと思い休日に長く寝ても何も変わらないんですよね(笑)
- そういう時に、田中さんと振り返り「成長過程で起こることなので気にしなくていいですよ。マネージャーもプレッシャーがあるので色々言ってくるかもしれませんが、冷静に次週はAやBの習得を目標にしてステップしていきましょう」と言ってもらえて落ち着けました。不安が大きくなり精神が追い込まれると冷静に何をすべきかが見えなくなります。
- 特に最初のうちの、自分が何もできなさ過ぎて落ち込むタイミングで、それが、客観的にまずい状況なのか、想定内の状況か等コメントいただけることで、落ち着くことができました。
(5)視野を広げた中長期的なキャリア設計
- 目の前のPJTに必死になりがちなか、田中さんから第三者的な視点で、今後のキャリア形成で中・長期的な目線をもち、どういう案件に入っていけばよいか、そのために、今どう動いていくか等、をディスカッションしてもらっていました。忘れがちな視点なので、毎回その目線を思い出させていただけて有難いです。
コンサル入社後の田中のサポートをお勧めできる方、お勧めできない方
全ての方にお勧めできます。特に未経験で転職される方には、強くお勧めしたいです。
- 前提として、田中さんからサポートをいただくとしてもいただかないにしても、週の出来事の振り返り、よかった点、改善点を整理することは重要だと思います。その際に田中さんのようなコンサル経験のある第三者の方からの客観的な視点でコメント・アドバイスや壁打ちによって、自分だけでは見えていなかった点(自分はいいと思っていたが、改善したほうがよかった、自分は改善したほうが良いと思っていたが、それはしょうがないことだった等)が見えてくることも多々あります。
- 加えて、転職したては心理的に追い込まれやすく、落ち込んで絶望的な気持ちになることもあると思いますが、お話しすることで現状を正しく認識でき、落ち着いてくることも多いので、アドバイザー兼カウンセラー的立場の田中さんにサポートいただくとよいのではと思います。(私は絶望的な気持ちも含め、洗いざらいお話ししてしまっていました(笑))
今後のキャリアの展望
- 直近としては、2年ほどファームでサバイブし、色々なケースを経験する中で知見や考え方の軸を身に付けたいです。未知な問題に対して、道筋をつけられる、何をすればいいのかが整理できるケイパビリティをつけたいと思っています。
- 今後、どのような方向に行くべきか、まだ何が最善か見えていない部分があるので、上記の経験を踏まえて、見出していきたいと考えています。今のところ、選択肢は、事業会社に戻る/コンサルで幅を広げるが有望です。入社前の想定から今のところ変化はないですね。
これから戦略ファームを目指す方へのメッセージ
(1)飛び込んでみて損はない
- 飛び込んでみて損は全くないように思います(メンタルの調子さえちゃんと整っていれば)。また、私の場合、田中さんのサポートもあり転職が必要かどうかも含めて結構深く考え、納得感をもって入社できたので、特に違和感や後悔はなく、ポジティブに過ごせています(現職に残るにしても転職するにしても、「行く先を自己決定した」という事実や納得感が重要なのではと思います。)
- 行ってみてだめでも死ぬわけではないし、入ってみた経験はプライスレスなので、飛び込んでみるのがよいでしょう。世界の広さを知れます。
(2)フルコミットメントは覚悟
- フルコミは間違いなく求められるので、ある程度ワークライフバランスのライフはいったん捨てる覚悟を持っていく必要があります。ただ、覚悟をもって、真摯に取り組めば周りの方も優しく、丁寧なので、成長に繋がる良いフィードバックをいただけるいい環境だと思います。
- (中途未経験で入る場合)自分ができないことにそこまでビビらずに、新卒の気持ちでいくといったほうがいいです。
- コンサルにいる人は頭がキレキレで近づきにくいキャラが多いかと思っていました。多少はそういうスピードスターもいますが、大半は努力を愚直にしてきた/している人が多いです。素直にFBを取り入れ努力し続けられることが大事だと思います。
(3)キラキラした仕事より地味な仕事が大半
- 戦略コンサルと言うと、「大きな戦略を描いて顧客の気づいていない事を提案する」といったキラキラしたイメージがあるかもしれません(笑)。そういった側面もあるとは思いますが、実務では、ひたすらインタビューやレポートで仮説を検証し、資料に纏め、顧客とディスカッションし、また仮説検証を繰り返していく連続でした。
- 仕事の大半は顧客との議論や意思決定の土台となる情報収集・加工といった地味な仕事の連続です。コンサルの仕事として、「顧客が気づいていないような突飛な戦略を提案する」よりも、「顧客内の関係者が合意でき企業が蓋然性高く成長できる意思決定をご支援する役割」が強いと思います。この辺りは戦略コンサルへのキラキラのイメージを強く持ちすぎない方がギャップが無くよいと思います。